なぜ仏教思想が夫婦関係の改善に役に立つのか④【夫婦が苦しいのは当たり前】
こんにちは!シン・イクメン育成コーチのひなたです!
【なぜ仏教思想が夫婦関係の改善に役に立つのか】シリーズも4回目となりました!
今回は仏教のスタート地点ともいえる
【一切皆苦】(いっさいかいく)
という教えが、どのように夫婦関係の改善に役に立つのかを解説していきます!
この【一切皆苦】が理解出来れば、
夫婦関係のみならず、人生のあらゆる問題に冷静に対処できるかも!?
1. 「一切皆苦」という考え方
夫婦関係が悪化すると、毎日が苦しいですよね。
結婚生活とは日常なので、
夫婦関係が苦しい=人生が苦しい
と言っても過言ではありませんね。
そんな時に心の支えになるのが
仏教の「一切皆苦(いっさいかいく)」という考え方です。
これは「すべては苦しみである」という意味で、一見するとネガティブな印象を受けるかもしれません。
しかし、この考え方は人生の真理を突いており、特に現在何かに悩んでいる人にとっては、
新たな視点を提供してくれる可能性があります。
「四苦八苦」という言葉、普段よく使うと思いますが、実はこの言葉、仏教用語なのです。
「四苦八苦」とは人生における8つの苦しみを表しています。
- 生:生まれ、生きることの苦しみ
- 老:年を取ることの苦しみ
- 病:病気になることの苦しみ
- 死:死ぬことの苦しみ
- 愛別離苦(あいべつりく):大切な人や大好きな人であっても、いつかは離れなければならない苦しみ
- 怨憎会苦(おんぞうえく):大嫌いな人、顔も見たくない人でも出会ってしまう苦しみ
- 求不得苦(ぐふとっく):求めるモノゴトが手に入らない苦しみ
- 五蘊盛苦(ごうんじょうく):自分の心や、自分の身体すら思い通りにならない苦しみ
これらの苦しみは、誰もが避けることのできない人生の一部です。
そのうち最も根本的なものが最初の四苦である
「生老病死」
とされています。
老病死が苦しいのは分かりますが、
なんだか
「生まれ、生きることの苦しみ」
言われると、救いようのない絶望的な感じがしますよね。
でも、この「生まれ、生きることの苦しみ」こそが
人生の苦しみの本質をついていると、個人的には感じています。
2. 「生きる苦しみ」の本質を理解する
「生きる苦しみ」というと、少し理解しにくい概念かもしれません。
しかし、日常生活を振り返ってみると、その意味が見えてきます。
例えば、長時間立ち続けて疲れた後に座るときの心地よさを思い出してください。
座った瞬間はメチャクチャ楽になり、快感を味わえると思います。
しかし、最初は快楽だったその座った状態を何時間も続けると、
今度はお尻が痛くなってきて座っていること自体が苦痛に変わってきます。
早く立ち上がりたくなります。
つまり、最初は快適だったことも、長く続けると苦しみに変わるのです。
生きるということは、このような快と不快の繰り返しの連続といえ、
いずれは必ず【苦しみ】に帰還するのです。
一時的な快適さや快楽はあっても、それが永遠に続くことはありません。
これは以前に解説した【諸行無常】(物事は常に変化して、不変のものは無い)にもつながる概念です。
このサイクルを理解することで、「生きる苦しみ」の本質が見えてきます。
3. 夫婦関係における「一切皆苦」の適用
この「一切皆苦」の考え方は、夫婦関係にも当てはまります。
夫婦関係にも苦しみがあるのは自然なことだと理解することで、関係性に対する見方が変わる可能性があります。
私の例で話します。
私は独身時代のクリスマスイブ、ファミチキと缶ビールで一人寂しいクリスマスイブを過ごしていました。
あれはなかなか寂しかった・・・
しかし、妻と出会って家族もできて一緒にクリスマスイブを過ごしてくれる人が現れたわけです。
サプライズでプレゼントをくれて涙したこともありました。
独身時代に比べるとはるかに幸せになったはずなのに、
時間が経つにつれて、「もっと自分の事を理解してもらいたい」という欲や不満から
夫婦間の衝突を繰り返すようになり、新たな苦しみが生まれました。
これが
夫婦関係の本質的な苦しみ
です。
一度良いことを経験すると、さらに良いものを求めるようになります。
その欲求が満たされないと、それが新たな苦しみとなるのです。
また、夫婦関係の本質を考えてみると、血のつながりのない他人同士が日常生活を共にするということ自体が、
ある意味で「苦しみ」と捉えることもできます。
だって、一人で暮らすことのほうが100万倍も楽だと思いませんか!?
一人暮らしの自由さと比べると、他人と生活を共にすることには多くの調整や妥協が必要になり、
その生活自体も「苦しみ」なのです。
4. 苦しみの中に潜む幸せを見出す
しかし、この「一切皆苦」の考え方は、決して悲観的になることを意味しません。
むしろ、苦しみを前提にすることで、その中にすでにある「幸せ」に気がつく事ができるのです。
作家のひすいこたろうさんの言葉を借りれば、
「【幸せ】はなるものではなく、今ここにあることに気づくこと」
です。
夫婦関係における幸せも、苦しみの中に既に存在しているのかもしれません。
それに気づく力を養うことが、良好な夫婦関係を維持するポイントになります。
独りでファミチキと缶ビールで過ごしたあの寂しさを味わなくて良くなっただけでも、
とても実はとっても幸せなはずなのです。
つまり、夫婦関係は苦しみを前提としつつも、その中にどのように幸せを見出していけるかが重要なのです。
足るを知る
このことを理解して、
自分の視点や物の見方を変えることで、夫婦関係の中に潜む本当の幸せに気づくことができるようになります。
5. 「一切皆苦」の視点を活かす
この「一切皆苦」の考え方を理解し、夫婦関係に適用することで、次のような利点があります:
- 問題やトラブルを「自然な出来事」として受け入れやすくなる
- 苦しみの中にある幸せに気づく感性が養われる
- 関係性の改善に向けて、より建設的なアプローチができるようになる
夫婦関係で問題が起きたとき、「これは起こりうること」と捉えることで、より冷静に対処できるようになります。
そして、その問題解決のプロセスの中に、新たな幸せや成長の機会を見出すことができるかもしれません。
結論として、仏教の「一切皆苦」の教えは、夫婦関係を含む人生全般に対する深い洞察を与えてくれます。
苦しみを避けるのではなく、苦しみがあることを前提にそれを受け入れ、
その中にある幸せに気づく力を養うことが、より豊かな夫婦関係につながるのです。
日々の生活の中で、この視点を意識し、実践していくことで、
あなたの夫婦関係がより深みと強さを増していくように、心より応援しています!