なぜ仏教思想が夫婦関係の改善に役に立つのか⑤【夫婦円満の状態とは？】

こんにちは！シン・イクメン育成コーチのひなたです！

【なぜ仏教思想が夫婦関係の改善に役に立つのか】シリーズもいよいよ完結編となります。

今回は

【涅槃寂静】（ねはんじゃくじょう）

という仏教の根本的な考え方がどのように夫婦関係に役に立つのかを解説していきます！

1. 「涅槃寂静」とは

仏教には「涅槃寂静」という深い教えがあります。

この言葉、聞いたことがある人は少ないかもしれません。

サンスクリット語で「ニルバーナ」と表記されるこの概念は、

心の中から全ての煩悩や苦しみが消え去り、穏やかで平和な状態に達すること

を意味します。

よく勘違いしがちなのですが、お釈迦様が悟られたこの境地は、死後の世界ではなく、
生きている今、目指すべき理想の心の状態です。

煩悩や苦しみから解放され、何が起きても心が揺るがない
これが涅槃寂静の本質なのです。

私たちの人生には、生老病死という避けられない苦しみがつきものです。

しかし、仏教はこれらの苦しみを自分の中から断ち切ることで、心穏やかな状態に到達できると教えています。

なぜ仏教思想が夫婦関係の改善に役に立つのか④【夫婦が苦しいのは当たり前】

2. 夫婦関係における「涅槃寂静」の難しさ

理想としては素晴らしい「涅槃寂静」ですが、
現実の夫婦関係においてこの境地に達するのは簡単ではありません。

私自身、夫婦関係改善コンサルタントとして活動していますが、
正直なところ、私もこの理想的な状態にはまだ到達できていません。。。

例えば、つい最近こんなことがありました。

妻がバッグを階段の真ん中にドーンと置いていたのを、
私が「邪魔だなあ」と思いながら端に寄せて２歳の息子と階段を上っていたところ、
妻から「そんな狭いところで登ってたら危ないでしょ！？」と怒られたのです。

その瞬間、私の中でイライラが沸き起こり、
「だったら最初からそんなところに置かなければいいじゃん！」と言い返してしまいました。

この出来事は、夫婦関係における苦しみの一例です。

相手の行動に対して理不尽さを感じ、イラッとしてしまう 、こういった感情の揺れは、
多くの夫婦が日々経験しているのではないでしょうか。

3. 仏教的思考で問題の本質を見極める

仏教的に考えると、全ての結果には必ず原因があります。

これを因果（いんが）と言います。

私がイラッとしたという結果の原因は何だったのでしょうか？

一見すると、妻がバッグを置いていたことがそもそもの原因のように思えます。

しかし、これは相手に原因を求めているため、苦しみが続くことになります。

なぜなら、他人の行動を変えることは基本的には難しいからです。

実は、苦しみの本当の原因は、妻の行動に対して私自身が生み出した感情にあります。

「なぜ自分が注意されなければならないのか」という自我こそが、苦しみの源だったのです。

4. 夫婦円満への道：自己変革と相互理解

では、どうすれば良かったのでしょうか？

一つの方法は、素直に対応することです。
「ごめん、確かに危なかったね。下ろしておけばよかった」と。

あるいは、次からは妻のバッグを見つけたら何も言わずに階段から下ろしておく、という行動をとることもできます。

ただし、重要なのは、これらの行動を「我慢」してするのではなく、自然に、無理なくできるようになることです。

我慢は怒りやフラストレーションを蓄積させ、長期的には関係性を悪化させる可能性があります。

お互いの行動や感情を理解し、自分自身の反応を少しずつ変えていくことで、
結果的に自分の中から苦しみを減らしていくことができます。

お釈迦様が辿り着いた完璧な「涅槃寂静」の状態に達することは難しくても、
より円満な関係を築くことができるでしょう。

5. 仏教の智慧を日常に活かす

仏教には、人生や関係性についての深い洞察が詰まっています。

「諸行無常」（全ては変化する）
「諸法無我」（自我にとらわれすぎると苦しむ）
「一切皆苦」（人生には苦しみがつきもの）

といった考え方は、日々の生活や人間関係の中で起こる問題に対処する際の指針となります。

これらの考え方を理解し、自分の中に取り入れることで、
苦しみが生じたときの対処法を見出すことができます。

完璧に穏やかな状態にはできなくて、時にはイラッとしたり、言い合いをしたりしながらも、

「それでも、なんだかんだ幸せだよね」

と思える関係こそが、現実的な夫婦円満の形なのかもしれません。

仏教の教えは、夫婦関係の改善に大きな示唆を与えてくれます。

相手を変えようとするのではなく、自分自身の内面と向き合い、成長していくためのヒントを与えてくれます。

そして、その過程を通じて、お互いをより深く理解し、受け入れることができるようになるのです。

完璧な「涅槃寂静」の境地には達していなくても、日々の小さな気づきや変化の積み重ねが、
より良い関係性への道を開いてくれるでしょう。

仏教の智慧を日常生活に取り入れることで、夫婦関係だけでなく、人生全体がより豊かなものになっていくはずです。

今日もあなたの夫婦関係が、そして人生がより良いものになっていくように
心から応援しています！